北海道に珍しい花崗岩のクライミングを楽しめる貴重な岩場。コンパクトなので本チャンに向けたトレーニング場としてはスケール感に欠けるものの、残置無視、A1ルートのフリー抜け、複数ルートのマルチ化、天候など、登り方を工夫すれば十分にアルパインの能力を磨けると感じた。
DAY1 初の剣山クライミング
一の森から、登る岩壁が見えてくる
二の森から登山道を外れて左へ
踏み跡を辿っていくと
腐ったFIXロープが。ここを下りた広場が各ルートや終了点のハブとなるので荷物デポ
【赤いポスト4級+】取り付くや否や職場から電話がかかってくる。はよピン取ってほしい
気を取り直して。極力残置を使わない登りを目指していたが、スラブ面はどうしようもなく、残置でもピン取ったらしい。
ここの一歩がなかなか勇気がいる。花崗岩まったく初めての人はビビると思う
核心部でもカムを決める精神が強い。トップアウト後、カム4つで支点を作ってビレイしてもらう。
あくまでも気持ちはアルパインの練習なので、トップロープ張らずにセカンドとして登る。寒すぎて歯が鳴る
フォローだし、小川山でスラブ登っているのでなんとか行ったが、リードはどうだろう…。花崗岩特有の、「なんのスタンスもないじゃん」から思い切って荷重かけたら「意外と乗れる」までの踏ん切りは慣れ…だろうな、ある程度は
残置支点で懸垂
【白い蝶4級】10m短い1ピッチ目を終えシラカンバでビレイ。2ピッチ目はこのフレアしたチムニーを登る
チムニー内はほとんどカムが決まらないらしい。チムニー抜け口は頭を押さえられるので、どこかの段階で右のリッジ超えたフェイスに出なくてはいけないが
高度感あり、快適なチムニーから身を投げ出すところがこわい
思わずこの顔
花崗岩のフリクションを利用してズリズリと這い上がる
抜けるとそこには十勝平野
やけに寒いと思ったら吹雪になった
岩も濡れるし寒いしで今日はここまで
DAY2 ニペ1泊山行を挟んで剣山2日目
1日目と打って変わって、滝のように汗をかきながらのアプローチとなった
まだ見れていない奥の壁へ向かうことにする
広場下にもFIXロープが
けっこう下りて、岩の基部を回り込む
踏み跡なし、藪漕ぎ
取りつきにボルト1個あり
【デコボコ4級】易しそうなのでリードする
カムのよく決まるルートで、気持ちがいい
ほしいところに絶妙にガバがあり、非常に楽しいルートだった
入門や初リードに最適なルートだと思う
ビレイはトドマツで
【三本指4級+】デコボコ終了点から取り付くので、両ルートつなげた2ピッチで登ると程よいマルチを楽しめる
ナチプロにこだわる
トラバース箇所。なんともない
上部はややハングしたクラック
リードは高度感あるだろうな
抜け口におびただしい数のテントウムシが。時期的なものだろうが、全日通してクラックにびっしりで大変だった
【白い蝶】の終了点のひとつ奥に出た
お昼を食べて、午後は難しめのルートへ
【ジュンジA1,5級-(フリー, 5級+)】下段クラック→上部クラック→上部フェイスの構成
フリーにこだわって登る。出だしカムを決めてから7~8回クライムダウンとトライを繰り返す。
一度カムを置いて核心抜けてからロープで引き上げる。渾身の登りでフリー突破
核心終了かと思いきや、上部がエイドポイントだった。そこもフリーで抜ける
最終スラブ面を抜けて終了点へ。ビレイヤーからはほとんど見えない
上部フェイスは発達したイワタケにびっしりと覆われていた。ランニングも残置しか取れない
ここも絶妙なホールドスタンス。しかも花崗岩だからこそ乗れる系
登り切ったら思わず笑顔がはじける。いろんな要素が詰まった、1ピッチとは思えない充実感あふれるルートだった。
DAY3 前日の暑さはどこへやら。アプローチから雪ちらつく
岩場に着くころにはけっこうちゃんとした雪
【チムニールート3級】多少濡れていても簡単なので終わらせる
花崗岩は濡れると不意に滑るので注意。特に剣山はイワタケがヌメるので注意
途中からそれなりの吹雪に変わった
天気の回復を待って、DKシェルターで2時間ほど待機。ツェルト内は暖かかった
行けると判断し、山谷記載最後のルートへ
藪漕ぎを嫌って、デコボコ終了点から懸垂
【ゼロA1,5級】右側バンドから
跳ね返った水滴が顔にかかる
岩が濡れていてコンディション悪い
このハング箇所でリードはA1
フォローはなんとかフリーで。トポ記載の終了点テラス一段下の太い木でビレイ
2ピッチ目。濡れていて全ピッチの中でこの出だしムーブが1,2番目にテクニカルに感じた。フォローはA1,リードはなんとナチプロ&フリーで抜けた
テラスから直上するが、割れ目という割れ目にテントウムシが詰まっていた。リードがナッツキーで払ってカムをセットしA1で抜ける
カムがよく決まり、カム支点にアブミかけかえまくる
フォロー目線。ここをアブミ直上。テントウムシのいない季節にまた来たい
その後トラバース
トラバースはフォローでも落ちたら振られるので緊張する
この後の一歩がこわかった
けど前に小川山でルートミスしてもっともっと際どいのに鍛えられたから大丈夫
都合のいいテラスでビレイ
最終ピッチを前に一段と吹雪いてくる
最後はフェイス。「岩がここを登れというラインが見えた」と言う
風雪強い中着実にロープを伸ばしていく。支点もカム
上に行くにしたがってホールドもスタンスも乏しくなっていく
微妙な片足に立ちこむバランシーなクライミングが続く。花崗岩ならでは
あと少しというところで手も足も甘く、上のクラックにカムを決めてA1
セカンドでも、しびれる内容だった
手先足先の感覚がなくなっていく
リード中落としたカムを懸垂で回収→登り返しのオマケつき。濡れたイワタケがスケートリンクと化していたそうだ。
目標の全ルートを登れて本当に良かった
下山
5/3 8:00P~9:15二の森~9:30岩場~13:15岩場~14:15P (3ピッチ)
5/7 10:00P~11:20二の森~11:30岩場~16:20岩場~17:15P (3ピッチ)
5/8 10:00P~11:05二の森~11:10岩場~18:00岩場~19:00P (4ピッチ)
【赤いポスト】、【ジュンジ】上部フェイス、【ゼロ】以外はオールナチプロで登攀可能。【ゼロ】のフリー化ができたらすごい
ルートにクラック記載があっても、ジャミングが必要な箇所はほとんどない。したければ数手あるという程度。なのでカムは取りやすい。花崗岩の水による浸食で溝状のガバやフレークを使うことが多かった。
フリーで登った中で一番印象に残ったルート【ジュンジ】の開拓期のリンク
https://sites.google.com/site/obihirorozan/日高東大雪の記録/北日高/剣山
ルート完成が自分の生まれた年で感慨深かった。
出だしの左上クラックが、【ゼロ】2ピッチ目出だしに並ぶテクニカルなポイントで難しかった。個人的には上部クラックのおそらくエイドポイントと思われる箇所が一番腕が張り、灌木がなければ厳しかった。開拓期にはなかっただろう。
今回は山谷記載のルートを登ったが、他にもいくつかルートが見受けられたのと、頂上の方の岩場にもルートがあるらしいので、トポ情報をお持ちの方はぜひ教えていただきたい。