③から続きます。
8月6日(水)

この日は全員レストの日。明日のアタック開始に備え休養を取ります。私達の予定はベースキャンプのスタッフへも当然共有されますが、明日への英気を養う為なのか、元々の予定だったのか、夕食にピザを焼いて頂きました。
食材・資機材をここまで運んでくれたポーターやベースキャンプのスタッフが我々の登山活動を支えてくれています。そういう仕事といえばそれまでですが、ただただ感謝しかありません。
色々な方に支えられて明日から山頂アタックが始まります。
8月7日(木)

山頂アタック初日。出発前に全員揃って健闘を祈念して写真撮影。

ABCで装備を整理し、尾根取付に到着。装備をデポしてABCに戻りました。明日はここから隊長oyamaと私がÇ1設営を目指し、yukikoとmatsuは順応の為、5000m程度まで登ってABCに戻る事になります。

ガサツな写真ですが、これはアマノフーズ製フリーズドライのハンバークです。食料担当miyoが、カロリー消費が激しい高所において少しでもタンパク質を摂取する為、店頭販売が無いこれを見つけて買ってくれました。
明日からアタック開始です!
8月8日(金)

アタック当日。oyama・shingoの行動を中心に紹介します。
3:00起床5:00出発。前回、登攀を開始した地点まで登り、デポした装備を回収し更に登ります。既にロープをfixしてありますが、また全装備で登らないとならない苦悩はあるものの、前回よりもあまり息苦しくない気がしました。

ペツルのアッセンションを使用してfixロープを登ります。実は前回この地点で私はは右の肺と肩甲骨がかなり痛く、更に高所の息苦さも相まって疲労の極地でした。
今回は前もってmatsuに痛み止めを貰い服用済みで、更に順応も進んだのか、前よりは動けている感じがしました。

前回の撤退地点。今回はここから更に進まないとなりません。水を担いでいない我々は水を作る為の雪が必要だからです。が、雪面は遥か先・・・

上の地点から更に2時間ほど進むと、とうとう雪面とÇ1設営に適したコル地形に辿り着きました。
テントを出して、フライを・・・フライがない。ん?テント本体が2つ???・・・無線でABC駐留中の2名に確認を依頼すると、確かにテント本体がない袋があるとの事で入れ間違いをしてしまった模様。とりあえず明日2人にテント無しの袋の荷上げを依頼し、テントの上に更にテントを乗せてみたものの、不要と判断しフライ無しで完了としました。
明日は奥に見えるピークを目指す事になりました。雪の付き方が非常に悪く、どのルートを取るか悩みます。が、まずは雪を取りに行かねばなりません。ここから長文ですがご容赦下さい。
雪を取りに行ったら雪ではなく氷で、急斜面かつ灰色の氷でした。でも貴重な資源なのでアックスで削りながらビニール袋に入れて確保しました。テントに入ると真っ先に水分補給です。まずは行動水をひたすら飲み続け、呼び水分を残して翌日の行動水と夕食用の水を作りました。二人のSPO2を測ると70%台でこのままでは高度障害を発症する懸念があります。隊長は落ち着いていたのですが、私は初めてで、私が行動不能になる事は撤退を意味するので、今日の行動をスマホにメモしつつ飲み続けながら緊張していました。明日は早朝出発と決まり早く寝ようとしましたが、月明かりが眩しく、落石の音が絶える事なく続き、かつ不眠の症状も出て寝れませんでした。
この様な葛藤を経て、明日を迎えます。
8月9日(土)

4:00起床 6:00出発。
まず目の前のリッジに取り付きましたが、これが積み木リッジで確実なスタンスが皆無でした。岩を落としながら進まざるを得ず、こんな事やってられないと後退を決断。

後退の為に懸垂支点に手頃な岩を探しましたがこれも皆無。でも進めない…。仕方無しにクライムダウンを敢行。

8:00〜 行動水を取った斜面を直進するルートに可能性を求めました。

行動水を取った斜面が氷だったので進んでも当然氷。私のアックスの刃は幅広のピュアドライだった為氷を砕く事が多く、更にアイゼンの刃も立ちづらい。この状態が目算1kmくらい続きそうでした。二人とも1〜2m進む度に息切れして止まります。
約20kgを背負い、高所で息苦しい中この状態で延々進む…?スノーバーも打てず、スクリューも二人合わせて4本のみ。fixロープは2本120m。進める確信なんて持てる訳も無く、仮に進めたとしても帰還する自信は無い。ABCの二人含め、全員が突破できるのか…
「・・・ここまでですかね」11:00 撤退を決断。

撤退も安全圏が無く当然気が抜けません。

13:30 Ç1帰還。ABC残留の2名に敗退を連絡。二人とも長い時間無言で2時間くらいは経過したと思います。

後に聞くと今年は10年くらいぶりに雪が極端に少ない年だったらしく、一日中快晴で天候は申し分なかったのですが仕方ありません。テント内では寝れなかった記憶があるだけで他は覚えていません。
8月10日(日)

ABCのmatsu・yukikoと連絡を取り合いながら下降し、5000mで二人と合流。ある程度装備を持って頂き、疲弊しながらABCを目指し進みます。yukikoには私の荷物をかなり持って頂きました。ありがとうございました。

15:00 ABC帰還。
BCに連絡するとmiyoが応答。oyama隊長より登山活動の終息を説明すると、「全員が無事に戻る事が第一」と労って頂きました。誰もが感謝しつつ悔しさを滲ませた瞬間です。

oyamaの夕食。前述したハンバーグですが、これが本来の形です(笑)
明日の行動に関し当然BC帰還という事になるのですが、全て使い果たした私はABCステイを依頼。よって明日は3名でBC帰還となりました。
8月11日(月)

6:00 oyama・yukiko・matsu BC帰還開始。

この日、私は何もしていません。ただテント内で音楽を聞きながら横になっていました。この写真はトイレの帰りに自撮りしたものです。
そして翌日の行動をBCに帰還したoyamaと交信し、BCスタッフも含め総出によるABC撤収が決まり、早朝から行動が決定しました。

BCの夕食です。他にも沢山作って頂き、労を労ってくれました。因みに私はマンゴーのドライフルーツで終了(笑)
8月12日(火)

早朝からBCからABCに向かうBCスタッフと4名、ABCからBCに向かう私でABC撤収です。スタッフの協力あって1日でABCを撤収出来ました。

ABC撤収作業を終え全員揃って夕食を頂いた後、何やらスタッフの皆が慌ただしく動いていて訝しんでいると、なんとケーキが!こんな山中で食材を大事に保管し、敗退とはいえ登山活動の終息をこのような形で労ってくれました。
夕食をいいだけ食べた後にこの物量を消化しきれるかという懸念はありましたが、これは残す訳にはいきません。全員で意を決して食べましたが、食べきれず翌日に持ち越し・・・(笑)
以上、マラングッディサール本峰の登山活動についてでした。8月13日以降の紹介はyukikoが担当しますのでよろしくお願いします。