積雪断面観察:
単独行動の為C1000mから上は斜度が増し、吹き溜まりによる表層雪崩の危険があると判断し5合目での観測にした。チョウ!ハン!のサイコロは振れませんでした。
日付160329 時刻13:40 山岳:羊蹄山京極5合目
場所: 標高 1000m 方角 SE (南東)気温 5.8℃ 雪面4.8℃
天気 OVC(薄曇り)風:強度C 0m/s 降水 NiL(なし)
HS(積雪深)2m80cm FP(靴貫入)20cm 斜度:20度
積雪構造
0-10cm 1F DF(こしまり雪) -0.2℃
10-20cm 1F DF(こしまり雪) -0.2℃
20-30cm P MFcl(ザラメ雪) -0.8℃
30-40cm P RGwp(ウインドパック) -0.1℃
40-50cm 1F MFcl(ざらめ雪) -0.2℃
50-60cm 1F MFcl(ざらめ雪) -0.3℃
60-70㎝ 4F MFcr(融解凍結)+0.4℃
70-80㎝ 1F MFcl(ざらめ雪) +0.5℃
80-90㎝ 1F DF(こしまり雪)
個人的評価:CTN(BRK)。弱層は無くテストの角柱は90cm底で応力集中により折れた。この周辺は雪崩のリスクはかなり低い。
以下個人的見解:3/26雪崩発生の前日3日間北西の風と共に降雪があり現場には雪庇が発達し風化側のボウル斜面(凹)に新雪が体積した。春には珍しく-7℃新雪パウダーが待っていた。この新雪に人が入り斜度30度の斜面で表層雪崩を誘発し下部のV字渓の沢へ流れ込んで更に両側の雪も巻き込んで大雪崩れに5m下に埋没した。ビーコン未装着!だったが捜索隊にたまたま堀当てられた。雪崩規模size2.5。ビーコン無しとは10年前に戻ったような雪崩事故だ。
森林限界(c1300m)から上はスキー滑降にはナイスなオープンバーンになっている。森林限界下部は最近ブッシュが多く、滑降には木に激突する危険なツリーランが強いられるのでスキーヤーには嫌われる。
滑降スタートÇ1440m(7合目)。雪崩誘発Ç1400m。
700m流され5m深に埋没した(5合目)。
コンプレッションテスト:CTN(BRK)
積雪表面に20cmの新雪。以下80cmまで弱層は無く硬い。
積雪内部は新雪から変態したザラメ雪が大粒、小粒と層をなして氷化している。
マス目は1mm。
総括:このような事故に巻き込まれない方法:
雪崩の多くはスラブ(吹き溜まり)に人が踏み込む事により誘発する。山行のエリアで直前に吹雪がなかったかを確認しておく。現場では斜度30度以上で凹地形で5m以内に樹木が無い開かれた場所には雪崩の罠が潜んでいる事を意識し、雪崩れた場合の被害の大きさを想像し、行くかルートを変更するかを判断する。なによりも雪崩学を熟知したベテランと一緒に、山の実践で学ぶ事がスキル向上になる。
end