トムウシ川の西沢は遡行した人もいると思いますが、東沢となると名前さえ知らない人が殆どだと思います。およそ遡行対象にはなり得ないこの沢ですが、実は前々から行きたいと思っていました。というのは、この沢の一部が極めて自然度が高い「十勝川源流原生自然環境保全地域」を流れているからです。それに東沢の源頭にある長沼も見てみたい。
問題なのは、この地域に入るためにはトムラウシ川本流の超難関とされるゴルジュ帯を通過しなければいけないということ。クチャンベツ林道が開通したとの情報を得て、沼の原山から枝沢を降りて東沢に入るルートを思いつきました。
ルート(出典:カシミール3D スーパー地形 ※赤線は筆者記入)
さて、この十勝川源流原生自然環境保全地域、google mapで見ると周辺より緑が濃いのが解かります。常緑針葉樹が周辺よりも多いためです。つまり、それだけ周辺の森は伐採され尽くしダケカンバなどの比率が高くなったという事でしょう。
(出典:Google Map)
クチャンベツ登山口から沼の原へ登り、分岐を沼の原山方面に向かいます。ササが被り廃道の気配が…
沼の原山から枝沢へ降ります。アカエゾマツ林の中はササも無く快適です。
実はこのルート、原生自然環境保全地域の北端に位置しており核心部ではありません。でも、エゾマツ、トドマツが多く見られます。核心部を見てみたい気もしますが、謎は謎のままでいい。
沢を跨ぐ倒木上にエゾマツとトドマツが更新してました。
どう考えても、大水が出たら流されてしまう立地環境…
彼らに生まれる場所の選択肢は無いんだなぁと思いつつ沢を下降
東沢と枝沢の合流部に到着です。
意外というかやはりというか、何も無さそうな東沢(左側)
43.50315555555556,142.92524722222223
1時間ほど東沢を遡行して、Co850m付近でU田さんが極上のテン場を発見
43.512855,142.93418166666666
焚き木は豊富ですが、若干湿り気味です。
それでも、焚火開始!
翌日、U田さんの足の調子が悪いため、長沼は見ずに夏道のコルに続く沢を遡行します。しばらく溶結凝灰岩の壁が続きます。
滝は出てくる気配さえないが、それはそれで楽しい。
と思っていたら、20m程の滝が出現
左岸の泥壁を10m程あがり、そこからザイルをつけて更に泥壁を5m、右側の溶結凝灰岩のルンゼに移り、ササを鷲掴みにして30m弱登りザイルを固定しました。ササを掴むまでの一手が無く躊躇しました。怖かった。
43.527136666666664,142.92909166666666