山行記録

Activity Diary
  • 2017 01.02
    投稿者:S.Baba投稿日:2017年1月2日

    ニュージーランドの名峰、Mt.Aspiringのノーマルルートであるノースウエストリッジから一人で登ってきました。

    バスの乗り継ぎでクイーンズタウン泊。クリスマスの夜に一人ベンチで一夜を明かします。ちなみに前夜は夜半までひたすらパッキング・・・クリスマスに何やってんだか(笑。

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    翌日、登山の起点となるワナカに移動し、ヘリポートまで行きます。運よくその日にヘリが飛んでくれました。ビーバンコルから飛び立つヘリ。

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    ビーバンコルにて出発準備。ヘリが飛んでくれたので上機嫌な私。

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    が、視界がなくなり、すぐにテント泊に切り替えます。

    夜半から暴風雨になり、翌日の昼まで続きました。ヤレヤレ・・・。

    翌日小屋に泊まっていた登山者に「よくテント無事だったね~」と感心されました。下写真はテント内が水深1㎝の池になったところ。

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    昼になると急速に天候は回復、アスパイアリングが目の前にそびえていました。予想していたよりも、遥かに美しい山でした。

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    この日のうちに、コリントッド小屋に向けてボナー氷河を横断しました。

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    小屋に着いた眺め。

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    悪名高きKea(高山性オウム)がやってきました。

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    好奇心が強い・・・というと聞こえは良いですが、ストックを持ち去る、テントを破壊する等々の悪行が登山者を泣かせるらしいです。今回も、近づいても怒鳴っても石を投げても逃げず、こちらの出方を覗っていました。

     

    翌朝4:15、山頂に向かってアタックしました。

    朝焼けのアスパイアリング。

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    高度差300mのバットレスと呼ばれる岩峰を超えるまでは岩稜が続きます。途中何度も行き詰まり、進める場所が見つかるまで何度も周辺を行ったり来たり・・・。下写真はバットレス下部。

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    下写真。こういった岩稜が延々と続きます。この場所は簡単なトラバースでしたが、基本的にもっと辛い場所が多かったです。確保無しのグサボロ岩稜・・・写真を撮る余裕はありませんでした。

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    それでも所々に高山植物が。

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    ようやくバットレスを抜けました。あとは雪稜を行くだけです。しかし、なかなかの強風。

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    アイスキャップと呼ばれる頂上直下の雪稜。上部は氷化していて、ダブルアックスを時おり織り交ぜながら登りました。

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    10:30山頂。下降への緊張感で嬉しさはあまり感ぜず、むしろ今回は少々無理し過ぎたような気がしていました。いやはや、何やってんだか笑。

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    バットレス上部での1回目の懸垂下降。懸垂は2回必要との情報でしたが・・・。

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    結局10回あまりの懸垂下降を行いました。懸垂下降⇒クライムダウン⇒行き詰る⇒懸垂下降・・・の繰り返し。終始ルートがよくわからず、行き詰るたびに神経がすり減りる思いでした。

    バットレスを抜けた後も、岩稜を忠実に行くのは怖そう⇒ボナー氷河側から巻けそうなのでクライムダウンして見に行く⇒行き詰る⇒登り返す⇒反対の氷河側もクライムダウンして見てみる・・・の繰り返し。

    結局、20:10小屋に無事到着。連続16時間行動。日が長くてビバークせずに済みましたが(9時過ぎてもまだ明るいのです)、精神的に本当に苦しい1日でした。

    下写真は21:30ごろの夕暮れ。

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    翌日はレスト。30日に下山を開始しました。往路はヘリを使いましたが、料金が高いので歩いて降りることにしました。

    ビーバンコルからマツキツキ川を望んだところ。

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    雪渓からスラブ帯に入ります。写真中央がヘクターコルと呼ばれ、このコルに向かって降りていきます。しかしここもルートファインディングが難しく、なんども周辺を探し回りました。

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    トポによればテラスを通って谷に降りるらしいですが、テラスが全く分からず適当に降りました。

    雪渓を降っていくと、トポにもある滝が出てきたので迂回します・・・が、ここでも迂回路を探すのに難儀します。場所を違えると数百m切れ落ちた凄まじい絶壁・・・30分程度探し回り、ようやく微かなトレースを発見・・・そのトレースのどん詰まりに懸垂支点。

     

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    基本的にこのような斜度の谷を、トラバースしながら降ります。ここも2回の懸垂下降が必要との情報でしたが、2回目の懸垂下降した後にクライムダウンすると進退窮まってしまいました。懸垂のロープ抜くんじゃではなかった・・・。

    2回目の下降地点を間違えたのか、50mロープ1本なので足りなかったのか(こちらは60mが基本らしい)・・・小1時間、クライムダウン可能な場所やハーケンを打てるリス、懸垂下降に耐えられる小灌木等を探し回りますが全く見つからず・・・。

     

    結局、懸垂支点をつくって下降したわけですが、しんどかったです。

    下写真はようやく岩壁帯を抜けて谷を振り返ったところ。滝の水は下まで落ち切らずに霧になっています。

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    それにしても周囲は凄まじい岩壁。縦も横も凄まじい大きさ。下写真の赤枠で示したところが、上写真の範囲です。

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    ザックを置いてようやく一息。川の水が限りなく澄んでいました。DSCN0880_R

     

    まるで梓川のような景色。

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    牛や羊が草を食む中をラズベリーフラットまで歩きました。

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    30日19:30、ようやくラズベリーフラットに到着。車に乗せてもらってワナカまで戻りました。この日も長い長い1日でした。

    今回は本当に精神的にしんどい山行となりました。自分の実力の無さを痛感しつつ、今一度謙虚に山に向かっていかなければ、そんなことを感じた登山でした。

     

     

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